研究の目的

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筋ジストロフィー等の筋肉関連疾患は薬物療法の開発が著しく遅れている分野であり、「メディカルフロンティア」として創薬研究の加速が社会から切望されています。本事業では、研究分野として「筋疾患の統合的創薬」を目指し、 1)筋関連遺伝子機能制御、2)筋増殖・分化制御、3)筋崩壊制御の三領域に特化した創薬研究において、創薬シーズの実用化レベルでの分子創製、及び筋疾患治療の共通技術基盤となる筋組織への革新的薬物送達システム(DDS)の開発を行っています。これらの研究・組織統合により、創薬全過程を一気通貫する「筋疾患統合創薬」を創成し、難治性筋疾患の克服、高齢者の筋機能強化に繋がる医薬品候補化合物の創出を通じて、研究成果の社会還元を図るとともに、本学を中核とする筋疾患統合創薬研究拠点を構築していきます。

本研究が目指すもの

  • 「分子創製ユニット」は、筋疾患に関わる以下の3領域に対する分子創製研究を実施しています。
    1)筋関連遺伝子機能制御:ナンセンス変異の読み飛ばし(リードスルー)活性を有する新規ネガマイシン誘導体を創薬シーズとして、遺伝性疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する治療薬の開発を行っています。
    2)筋増殖・分化制御:マイオスタチン(TGF-βファミリーに属する筋の増殖抑制因子)とその受容体との結合に対し、特異的阻害活性を有する21残基のαヘリックスペプチドを創薬シーズとして、筋組織増強剤の開発を行っています。
    3)筋崩壊制御:筋細胞膜の安定化に関わるジストロフィンと複合体を形成するラミニン由来ペプチドを創薬シーズとして、筋細胞の脆弱化を抑制する医薬品の開発を行っています。さらに、多くのがん患者で認められる体重減少の要因である筋組織分解(癌悪液質)の分子機構の解明にも取り組み、高齢者における加齢性筋減少との関連性を探っています。
  • 「創薬高度化ユニット」では、リポソームを利用した筋組織への革新的薬物送達システム(DDS)の開発を行っています。ジストログリカン結合性ペプチドをラミニンペプチドライブラリーから検索し、本ペプチドで修飾した筋指向性リポソームを開発しています。さらに、本DDSキャリアーの機能的な高度化にも取り組み、筋特異的な革新的DDSの開発を目指します。
  • 「分子創製ユニット」の3領域から創出された創薬パイプラインを「創薬高度化ユニット」で開発した筋組織への革新的DDSを用いて高度化していきます。最終的に、筋疾患病態モデルを用いて、医薬品候補化合物を包含するDDS製剤のin vivoでの治療効果、毒性及び体内動態を評価し、その実用化を目指します。